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第60話

a memory from summer no.53 恋人編 その14 (職場編 その46) 挨拶を交わした2人と知らん顔の1人と 眉をひそめる俺1人。 この奇妙なオヤジ4人連れは、その場でコーヒーを啜る。 2人黙っている中で、喋るのは青木さんと俊2人。 青木さんの話しのホコ先は全て俊の仕事のこと。 俺も聞いたことがない話が次々と出てくる。不思議な時間だ。長年の付き合いもある現恋人の詳細を最近初めて会った人が聞きだして、俺がそれを聞いている。 教頭先生も俊が会社を名乗ったあたりから、興味のなさそうなそぶりを見せながらしっかりと会話は聞いている。 話しは俊が就職し、その頃の話にさかのぼった。 「 ほう、シンガポールに留学されてた 」 「ええ、まぁ、会社からですが 」 そこで、青木さんが先生に話を振った。 「 そういえばお前もシンガポールの大学に留学してたよな 」 「 ああ、俺の頃は社内留学はアメリカが主流だったから、休職したけどな 」 「 じゃあ、自費で? 」 「 そう自腹 」 「 あの頃にシンガポールはって、何年前だ? 」 「 もう20年も前だよ 」 「 30代中頃?後半ですか?またそれは中途半端な年頃に 」 え?なんてこと言うんだよ!俊‼︎ 「 先生はいつから教員になったんですか?その前は会社勤めとは聞いてたけど、商社だった? 」 失礼な俊のセリフを打ち消すように慌て質問を繰り出した。 「 そう、菅山は教員になったのはいつだ?そういえば教頭クラスから入ったんだっけ? 」 「 いいや、俺は国立でしばらく勤めてから、特別枠で教員になったくちだ 」 「 シンガポール留学から帰ってきた後、しばらくしてからどっか行ってたな 」 「 そう、そのどっかだよ 」 「 シンガポール留学は仕事の役には立たなかったんですか?」

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