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第63話
a memory from summer no.56
恋人編 その17(職場編 その49)
「 言いわけ、ですか? 」
「 う、うん 」
「 まずなんで連絡を取らなかったのか?とか? 」
「 う、うん 」
「 いいですよもう、会えたことだし。俺もここまで迎えに来てなんかスッキリしたし 」
先ほどまでの態度が嘘のような憑き物が取れたような俊の態度。
「 ごめん、本当に悪かったよ……連絡もいれないで 」
「 その代わり、俺も一緒に帰りますからね 」
「 え? 」
「 そういえば青木さん、あの人も一緒に乗ってくって言ってましたよ。
さすがのベントレーも俺たちが乗って4人になったら、車高が沈むかな~ 」
なにをのんきに
「 先生は知らないんだろ?そんなこと勝手に 」
「 いや、青木さんは菅山もそのつもりだろうと言ってましたけど? 」
いつの間におりて来たのか、
教頭先生がフロントで会計している姿を見つけ駆け寄った。
「 先生、4人で帰るって⁉︎ 」
カードで支払いを済ませた先生はフロントのありがとうございましたという挨拶に簡単に挨拶を返し、俺に向き直ると
「 それが1番いい方法だろう? 」
「 でも先生はもう一泊するつもりじゃなかったんですか? 」
「 コホン。いや、もうそれ、意味がないし…… 」
何か言い残すような言葉に眉をしかめると、俺のそばから離れるようにさっさとエントランスから出ていってしまった。
後ろから俺の荷物を持った俊が、
「 それじゃ、行きますか 」
と俺を促す。
なんか俺だけ蚊帳の外の様な気分で釈然としないが一緒に外に出た。
外では車の前で青木さんと先生が話している。
「 おい、じゃあ、俺の荷物を取りにホテルに寄ってくれ 」
「 ああ、蹴上のウェスタリアホテルだっけ? 」
「 そう 」
先生はトランクを開けて俺の荷物を入れるのを待っていてくれる。
俺の荷物を俊がトランクに入れるのをじっと見ながら、ため息をひとつついた。
なに?そのため息?
俺は思わず先生を睨みつけた。
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