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第66話
a memory from summer no.59
4人で その3
それにしても、気が合うのか合わないのか、隣の前と後ろは漫才みたいなやり取りを繰り返している。
「 俺じゃなくて青木さんが後ろから説明すればいい良いじゃないですか 」
「 俺じゃ聞きあきた声だよ、割井君のような若いイケメンのボイスがいいんじゃないの! 」
「 菅山先生はいつも現役高校生の声を聞いてるのだから、たまにはおっさんの渋い声の方が耳障りがいいんじゃないですか?おまけに"親友"なんだし 」
「 え?なんで俺と菅山が"親友"だと思ったの? 」
「 見てりゃわかりますよ 」
「 そんなに親密かね~俺たち
怪しい?どう思う?三枝くん~」
「 俺をあなたたちのじゃれ合いに巻き込まないでください 」
前で教頭先生が吹き出した。
やれやれと思いながら、
「 じゃあ、今調べましたから俺が 」
というと
すかさず俊が
「 いいです。俺が説明しますから 」
と割って入った。
「 三枝くんの声の方が良かったんだがな 」
と教頭先生がうっそりと呟いた。
酷い渋滞にも合わずにそれから30分ほどで明治村に到着した。
天気は快晴、緑に囲まれたテーマパークは男4人でそぞろ歩くにはとても気楽な場所だった。
青木さんが道すがらほとんどが重要文化財という建物の説明を挟むのも楽しく、
教会や歴史上の人物の邸宅、行政の建物などを回るうちに、
広々とした公園を見下ろせる場所にやってきた。
広いですね、建物も小さく見える。
すごい施設を作ったもんだな
俺の口からは感嘆の声しでなかった。
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