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第70話

a memory from summer no.63 4人で その7 その時、 「 お待たせいたしました 」 と、ボーイの声とともに話がさえぎられ、フワフワのオムライスと、うまそうな香りのするビーフカレーがワゴンで運ばれてきた。 「 俺と割井君がビーフカレーで、 そっちはオムライスだな 」 とボーイに教える教頭先生。 テーブルの上に置かれた料理に、 「 おっ、うまそうだな、 いただきます! 」 と早速ビーフカレーにスプーンを入れる。 俊が質問にまだ応えがないのも気にならない様子で、うまいうまいと言いながら食べる先生。 「 本格的な英国スタイルですね、このビーフカレーは 」 と言いながら俊も美味そうに食べ始める。 青木さんはスプーンをいじりながら、少しの間考え事をしていたが、俊の食べ終わるのを待つことにしたようだ。 おもむろにオムライスの真ん中あたり、1番フワンと玉子がのっかっているところにスプーンを入れた。 俺もとろけるような玉子とソースの絡んだライスを口に運びながら、 さっきの話しに引っかかる人でもいるんだろうか? と考えてもわからないことが少し気になった。 食べ終わったのは4人ほとんど同時で、お皿を下げにきたボーイにコーヒーを頼む。 「 ふー、食って人心地ついたな 」 「 ああ、明治時代のレシピとか言うからもっと素朴な味かと思ってたけど、意外に繊細な味付けだったな 」 などとちょっと失礼なことを言いながら、教頭先生はと青木さんはさて、とばかりに俊の方に目を向けた。 「 ああ、さっきのそのサックス吹いてるかれの名前ですか? 」 「 うん、そう 」 「 青山さん、下の名前はジュンヤって言ったかな 」 「 一文字違いだな……」 と先生が呟いた。

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