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第91話

打ち上げ騒動 その8 ( 歳上の彼は多情なオトコ ) 「 ライブは7時からです 」 神崎さんに案内されたテーブルは 玄関から一段下がった奥、ステージの前の左奥側少し高くなった6人席で、ゆったりと座れそうだ。後の3人が大きいから4人席だと窮屈だから良かった。 俺のために椅子を引き、神崎さんが青木さんの顔を正面から見る。 「 こちらは初めてですか? 」 「 ええ、初めてです 」 と青木さんが神崎さんの眼をじっと見て答える。 神崎さんはその答えにふっと軽く微笑むと、 「 どうぞ、ゆっくりしていってください。今夜はテナーサックスの調子が良さそうです」 とメニューを置き店の奥へ戻っていった。その背中を眼で追っていた青木さんは硬い顔をしている。どうしたんだろと思っていると、 「 三枝君は何にする? 俺はスパークリングワインにするけど 」 飲み物のメニューを開きながら青木さんが聞く。 「 ビールじゃないんですか? 」 「 太らないようにしてるんだよ、これでも 」 と硬かった表情もいつもの調子に戻った。 「 じゃぁ、俺も同じもので 」 「 あれ?太るの気にしてる?三枝君の場合は少し肉つけたほうが良いって言われない? 」 このわざとらしい言い方、 「 誰にですか…… 」 と声を低めて返すと、 わはは、 と笑って誤魔化された。 「 早かったですね、こんばんは 」 という挨拶と共に俊がきた。 「 よお、今回は世話かけたね、 今飲み物頼むところだけど 」 「 ああ、ヒロシさんは何に? 」 「 俺たちはスパークリングワイン 」 青木さんが答えると、 「 俺たち?、、、じゃぁ、俺もそれで 」 「 どうせ菅山もそれでいいだろうから、ボトルで頼むか 」 青木さんはホールスタッフを呼んで 「 プロセッコ、ボトルで 」 と伝えた。 この2人が喋ると卓球のラリーのような応酬が始まるのはなんでだ? 「 今夜のライブ、テナーサックスは青山ジュンヤ君ですよ 」 「 あの、さっき神崎さんがテナーサックス調子が良いって言ってた 」 「 神崎さん?名乗ったんですか? へぇー、彼の方から? 」 「 また吸い寄せたか!牽制しとかなくちゃな 」 青木さん、言ってる意味がわからないですが……

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