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第100話

打ち上げ騒動 その16 ( 歳上の彼は多情なオトコ ) ソロでドラムを叩く菅山さんの飛び入りで、盛り上がったステージは、 最後のサックスとトランペットのセッションで更に盛大な口笛と拍手で終わった。 気持ちの良い余韻の中で、またスタッフが飲み物のオーダーに忙しくなる。 菅山さんとステージのメンバーはまだまだ次の演奏を目論み中?やけに楽しそうな菅山先生。 羨ましいな。 「 なにに、します? 」 ぼーっとステージを見ていたら、肩に手をかけられた。 「 あ、俺?なんか……ウイスキーで 「 青木さんが腹が減ったって、シフォンケーキ頼んでます 」 「 え?飲むのにケーキ? 」 「 ええ、アルコールの薫りと味わいに邪魔しないようって、ケーキとかドライフルーツはわりと食べますよ 」 「 そうなんだ、とにかくなんか、選んでよ 」 「 選んでよ、ですか 」 聞いていたホールスタッフにも笑われたような気がした。まずかったか? 俊がオーダーしたのは、 アベラワー・アブーナのロックと あとチェイサーに硬水のソーダ。 自分にはラフロイグをロックで頼んでいる。 「 それ美味いの? 」 「 個性的ですけど俺は好きですね 」 そんな話をしてるとステージがまた賑やかになってきた。 そこにジュンヤさんの声。 「 話がまとまりました。ジャムセッションします 」 おー!という声や、イイぞ!という掛け声は青木さん。もちろん拍手も起きる。 「 ありがとうございます」 ではと演奏者の紹介が始まる。 ピアノ 、ベース、パーカッションはさっきまでドラムを叩いてた人だ。 トランペット、トロンボーン、そしてドラムの菅山先生。 「サックスは青山ジュンヤ、 My fa vorite Things 」 映画が原曲でこの有名な一曲に、 ひときわ大きく拍手があがる。 今夜を終わらせたくない、そんな気持ちを共有してるのか…… それぞれのソロがステージに響く。 少し酔の回った身体に心地よく、 雲の中に身体を置いているようだ。 そっと被せてきた俊の指が俺の指を一本一本丁寧に絡ませていく。 指から伝わる温もりがさらに心地いい……

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