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第103話

打ち上げ騒動 その19 ( 歳上の彼は多情なオトコ ) ジュンヤさんの話題は急に変わった。 「 割井さん、こちらの綺麗な人、紹介してください 」 え?俺? 「 先日の晩も可愛らしい人を連れてきていたし、羨ましいな 」 「 先日? ああ、杏果君連れてきたときのこと? 」 「 え?杏果、来たの? 」 「 誰かさんが連絡もなしに行方をくらませましたから 、誘いました。色々調査のためにね 」 「 杏果ちゃんと?知り合いですか? 」 杏果のことを知らない菅山先生と青木さん。そして俺と俊の関係と杏果のことを知らないジュンヤさん。 誰がどうやって説明したものだかと思っていると。菅山先生が 「 杏果君っていうのは三枝さんの息子さん? 」 と話を繋げてくれた。 「 息子さん? 」 驚いた様子のジュンヤさんにじっと見つめられる。アーモンド型の切れ長の眼差しにドキドキしてしまう。 「 あ、僕は三枝 ヒロシと言います。 その杏果は僕の息子です 」 「どうりで、なんかお会いしたことがあるような気がしてたんですよ。雰囲気がよく似てる。でも親子と言うより兄弟ですね」 「 それを言うなら、ジュンヤさんの方が青木さんによく似てますよ」 「 ジュンヤさん? 」 と菅山先妻と俊がハモる。 また妙なところで、引っかかってる。 「 嬉しいな、ジュンヤって言われると。僕もヒロシさんってお呼びして良いですか? 」 「 ダメだろ 」 と俊がまた引っかかってる。 「 俺だって名前呼びまだできないのに 」 とブツブツ呟く菅山先生。 「 構わないですか? 」 直接俺に聞いてこられもちろんダメだと言うわけにもいかず…… 「 ええ、、構いません 」 と答えた俺に俊の不満そうな視線が刺さる。 「 まったく親子揃ってガードが甘いんだから 」 「 親子揃ってってどう言うことだよ! 」 「 いいえ、こっちの話ですよ 」 ジュンヤさんだけが楽しそうに笑いながら、 「 今度は親子で来てくださいね、特別大サービスしますから 。 菅山さんラインしますね。またセッションしましょう。今晩はとても楽しかった。来月もやりたいですね! では、皆さんごゆっくり 」 と席を立ちキリッとした足取りでステージの方に戻る後ろ姿は、本当に青木さんによく似ている。

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