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第106話

シンガポール ハイ その2 「 どういうこと? 」 「 言ったまんまです。もう一回くぎを打ち込んでおきますけど 」 楽しそうな俊に、自分はともかく杏果の身の安全は守るからと決めた俺だった。 航空券もホテルもすっかり俊の世話になってる今回の旅行は荷物を用意して空港に来れば良いという、楽チンな大名旅行。おそらくシンガポールでも全部俊の手配済みなんだろう。 「 ヒロシさん、朝霞さんて大学の時、筋肉コンテストで優勝したんだって 」 「 筋肉コンテスト? 」と俺が尋ねると、 「 それって、ミスターコンテストのことだろ? 」 と俊が半ば呆れたように答える。 「 まぁそうです 」 苦笑いする朝霞さんにまた杏果が嬉しそうに話しかける。 「 アメフト部だったんだって、ね、すごい、カッコいい 」 あまりに杏果がおしゃべりなのに驚く俊と俺。杏果がトイレに行った隙に、朝霞さんにくぎを刺す俊。 「 どんなマジック使ったんだよ、お前 」 「 え?なんかとっても話しが合うんです。本当に可愛い子ですね 」 「 手、出すなよ 」 「 え⁉︎ もちろん、もちろんですよ やだなぁ 」 軽く朝霞さんの脇腹にジャブをいれる俊。 「 荷物を預けてラウンジに行きますか 」 いいところに入ったらしく呻く朝霞さんを帰ってきた杏果がどうしたのかと心配している。心配されて微笑む朝霞さん。 逆効果じゃないのか? 4つのスーツケースを預けて身軽になった俺たちは出国審査を通ってラウンジに向かった。 案の定持ち込む手荷物とボディーチェックも朝霞さんが慣れないことをする杏果に寄り添ってる。 すっかり安心してる杏果の顔。 杏果から目を離さない朝霞さん。 「 心配が増してきた 」 という俺に 「 まだ、心配ですか? 」 「 うん、ごめん、ますます、あれ見て 」 「 杏果君はお兄さんみたいに思ってるんでしょ、じきに朝霞に慣れますよヒロシさんも 」 まぁ兎に角、朝霞さんのことは俊に任せて、せっかくの旅、楽しもう。

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