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第108話

シンガポール ハイ 4 真夜中だというのに、 シンガポール チャンギ国際空港は人種のカオス。 あらゆる肌の色、言葉、服装の人たちが行き交う刺激的な場所。 たしかに俺たちはシンガポールに着いたんだ、と実感する。 杏果も目を丸くして、杏果のバッグまで持ってる朝霞さんに手を引かれてる。 男が男に手を引かれてるなんて目立つよ、おいおい。 でも誰も気にする人はいないみたいだ。皆自分たちのことに集中してアクティブに動いている。 まるでお上りさんのように、キョロキョロしている俺に俊は 「 どうしました?人ごみに疲れた? 」 「 すぐにショッピングモールがあるんだな 」 ターミナルのアーケードの免税ショップはまだやってるところがかなりある。そんなことに感心しながらエスカレーターを降りて入国審査のゲートに並ぶ。シンガポールでは入国時指紋を採取するんだ。日本で採取されることはそうそうないのしニコリともしない審査官に指図され、こわごわ親指をあてる。 朝霞さんと杏果は先の方でもう審査は終えたようだった。 スーツケースを確保してロビーに出ると側にシムを売る窓口があるらしく、俊と朝霞さんは手際よく両替共にシムを購入してくれた。 本当に手際が良くて、なんか悔しい気もするが、杏果は素直に感心して破顔している。 親としてはこの俺に似ず、の単純な素直さが可愛くもあり、心配でもある。 税関を通ると晴れて来たぞ!シンガポール。 真っ暗だけどキラキラと街が光っているのが見える。手配していたタクシーがもう到着している。 「 ようこそ、シンガポールへ 」 という流暢な日本語で挨拶してくれた運転手に挨拶を返して、俺たちは一路どこに向かってる? 「 俊が真夜中だから空いてるので20分ほどで着くでしょう。 今夜はセントーサ島のコーヴのコンドミニアムで少し休んで 」 「 コーヴに知り合いがいるんですか?流石だな割井さん 」 「 留学してる時の同級がいるんだよ お前だって、どこかの小国の王子と一緒だったって言ってなかったか? 」 「 あの国には特殊なビジネス以外で行くことはないから、やっぱり観光立国の有力な人と知り合ってる方が旅には有利ですね 」 杏果は内容に驚いて2人の会話の応酬を口をボカンと開けて聞いている。 俺たち庶民の親子には、 こんな話、全くついていけない……

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