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第110話

シンガポール ハイ 6 西欧文化の充実をみるシンガポール。コンドミニアムの内装もこれでもかというアーバンモダンなデザイン。 玄関ホールか続くLDKの先にある 3ベッドルーム。ダブルベッドの部屋が2つ、キングベッドの部屋が1つ。 どうしてみんな同衾なんだ?と思わないでもないけど、それが外人。 別に寝るようになったら別居してんだろうなとか余計なことを思う。 遅いし疲れているし部屋割りは俺が杏果と一緒と決めて2人でキングサイズのベッドの部屋に閉じこもる。 これ以上、あの2人の男どもとやりあう元気はないし杏果にも少し言っとかなきゃって。 手っ取り早く交替でシャワーを浴びたら、睡魔に襲われて結局杏果とは話せずじまいだった。 明るい日差しがレースのカーテン越しに差し込んできて、閉じたまぶたにも眩しい光が見えてくる。 朝だ、ここは? と思いながら うっすらと眼を開ける。 開けたまぶたの先にはまばゆいばかりの青空とヤシの葉。 そっか、シンガポールに着いたんだ 予想外に部屋割りにおとなしかった男たち。どうしてるだろ……と、そっと廊下に出てみた。朝の陽光が廊下のハイサイドの窓から注ぎ込んでいる。 外の音はしないのに光と椰子の影で外が朝の装いをまとったのを伺うことができる。 片方はインナーガーデンの廊下をリビングへ向かう。 シンプルな白一色のステンドグラスのはめ込まれたガラス張りの戸を開けると、此処彼処に置かれた贅沢な配置のソファが俺を迎える。 1番大きな窓に面した淡いオレンジの布ソファに近づくと、背後から声がかかった。 「 おはようございます。早いですね 」 朝霞さんだった。 「 今コーヒー淹れてます。 紅茶の方が良いですか⁇シンガポールゆえにここには良いお茶が揃ってますよ 」 「 そっか、シンガポールのお土産には紅茶が人気だよね 」 と言いながら、それでも淹れたての、にそそられてコーヒーをお願いする。 「 シンガポールはコーヒー焙煎専門店を探すのはむずかしいですが、ここのオーナーは自分で独自にインドネシアから入れて焙煎してるみたいですね」 と予備知識もたくましい。 「 朝霞くんこそ、早いね 」 「 ええ、楽しみで仕方ありません!今日からの3日、多分昼はチキンライスかな? 杏果君、好きかな? ワクワクして寝てられないですよ、 シンガポールの空は高いんです 」

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