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第111話
シンガポール ハイ 7
「ワクワクして寝てられないですよ、
シンガポールの空は高いんです 」と言う朝霞さん。
こんなに堂々と自分の気持ちを話す人も珍しい。
気持ちの良い男だな。
「 おはよう、朝霞、気合入ってるな 」
と俊も起きてきた。
「ヒロシさん、おはようございます。
眠れました? 」
「 うん。ぐっすり寝れた。良いベッドだね、杏果は、まだ起きないよ 」
「 割井さん、グッモーニング、コーヒー淹れてあります 」
と朝霞さんがソファに座る僕にコーヒーを持ってきてくれた。
「 自分でやるよ 」
と言いながら俊がアイランドカウンターの方に向かう。
キッチンのアイランドカウンターも通常じゃない長さ。5メートルくらいあるじゃないか、それになんだろう?こんな色の石が自然にあるの?綺麗な青と蒼と薄い金色が入ったマーブル、なんとも華麗な天板に、
シンクもステンレスじゃなしに白いんだね。
俊が「何か驚きました? 」
と聞くので素直に答えた。
「 このうちの内装、インテリアすごいね 」
「 ああ、イタリアの若手建築家の作品、って言ってましたからね。作品ですよ」
と可笑しそうに笑う。
「 隅々まで意識したデザインって事なんでしょうね 」
コーヒーを淹れながら、
「 さぁ、これを飲んだら、朝飯がてらの昼飯で、
チキンライス行きましょう 」
「 やっぱり!チキンライスなんだ」
「そりゃそうです。
シンガポールではまずはチキンライスを食べて。有名な料理ですから日本でもありますけど、現地では更に美味しいですよ! 」
と俊にしては珍しくはしゃいだように喋ってる。
旅ってみんなを開放するんだな。
「 俺は杏果ちゃんを起こしてきます 」
え?なんで朝霞さんが、
「 オッケー、キスで起こすなよ 」
「 アハハ、ダメですよ。そんな挑発したら 」
ええ!何この2人の会話……
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