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第117話

シンガポール ハイ 14 「 ニホンジン?ゴキョウダイ?ビジンサン 」 見上げるほどの大きな金髪の人がニコニコしながら話す言葉。 これはカタコトの日本語? となりに座る杏果と思わず顔を見合わせて俺たちのこと?とクビを傾げていると、 フロントから戻ってきた朝霞さんがその金髪のでかい男の人に外国語を猛烈な勢いでまくしたてた。 男の人は肩をすくめそれでも軽く俺たち2人にウインクして離れていく、なんだったんだろう? 朝霞さんが外人にまくしたてたパワーを落ち着かせ、抑えた優しい声で、 「 大丈夫でしたか? 」 と聞くので 2人で頷きながら 「 何が? 」と尋ねると、 「あ、いや、それならいいんです 」 と安心したように息をついていた。 チェックインを終えた俊がボーイを連れてクロークに荷物の引き取り行くようだ。俺たちも合流する。 荷物を引き取りキャリーに載せ、 タワーのエレベーターに乗り込む。 エレベーターの中は涼しくてホッとする。あのロビーの天高い空間じゃ空調も効かないだろう。 12階で降りると 「高層階じゃないですが、部屋はオーシャンビューの方ですから 」 と話しながら廊下を進む。 「 割井さんだから、19階以上選ぶとき思ってました 」 と朝霞さんが言うと、 「 なんせ、倹約家を連れてきてるからな、息子に贅沢はさせられないって、だから普通の部屋にした」 と仕方なさそうに告げる俊。 「 12階でも充分高いと思うけど」 と俺が俊をなだめると、 「 このホテルは最上階にプールがあって、57階ですから 」 「 57階⁈ 」 「 そう、杏果ちゃん、プールからの眺めはちょっと凄いよ 」 部屋は二部屋、それぞれに荷物を置いてもらうのは良いのだけど。 「 俊、杏果と朝霞さんのスーツケースが一緒なのはどうしてなんだ? 」 「 決まってるでしょ、俺とヒロシさん。残るのは朝霞と杏果ちゃんじゃないですか 」 「 ええ?俺と杏果だろ普通 」 「 普通は恋人同士が同室ですよ 」 「 そんな、聞いてない 」 「 言ってませんから 」 「 杏果と朝霞さんが一緒なんて、何かあったら 」 「 あるんですか?朝霞にはでっかい釘打ち込んどきましたから、大丈夫ですよ 」 この部屋割りは譲らないぞと言う俊。 俺たちがそんなやりとりをしてる間に、杏果と朝霞さんはちゃっかり部屋に入ってしまった。

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