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第121話

シンガポール ハイ 18 キーを見せてゲートを通ると、背後でさっきのブロンド2人が係の人と揉めている。どうやら英語が母国語じゃない女性らしく、カタコトの言葉で話しが通じないらしい。 気づいた俊が、彼らに近づいて通訳を始めた。 何語?あ、イタリア語か 俺の方に戻ってきた俊。 「 すみません、カードキーを部屋に忘れたらしい。話しがあまり通じてないので下まで通訳に付き合いますから、先にプールサイドに行ってください。杏果ちゃんたちがいるでしょうから 」 ともう普段の口調に戻ってる俊が少し憎たらしい。 「 わかった、先に探しとくよ 」 少し不満げに喋る俺の腰を軽く抱くとニッコリ笑って 「 早くすませますから 」 と耳打ちしてゲートの方に行ってしまった。 なんかあのブロンド2人、やけに嬉しそうにしてるけど。 やっかみ半分、杏果たちはどこかなと不安半分な俺。 プールサイドに出ると、 そんな気分は消し飛んだ。 目の前には圧巻の青空、 そして、 プールの向こうにはシンガポールのビル群が見えている。 高層階の少し強めに吹く風。 プールの水がビルの最上階から落ちるような錯覚に少しの間見とれてしまう。 昔から見た映像の通りのプール。 凄いというか、ここまで良くやったなというか、こういう凄いものを目の当たりにすると気持ちが高揚してくるな。 やはり南国、ジリジリと炙られる日差しの中、 沢山のデッキチェアと寛ぐ人たちを避け、タオルはいるかと声をかけてくるスタッフにノーサンキューと言いながら、2人を探すためにプールサイドを歩いていると、 「 ハイ、ビジンサン! 」 とカタコトの日本語が聞こえてきた。 え?俺? と横を向くとさっき下のフロントの前で声をかけてきた大きい外人さんが手招きをして俺を呼んでいた。 無視するわけにもいかないし、俊もいないから自分で対応しないとならないのかヤレヤレと思いながら近づくと、 「 ヒロシさん! 」 「 え? 」 彼の大きな身体で見えなかった隣のデッキチェアには杏果が座っていた。

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