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第123話

シンガポール ハイ 20 57階に降り注ぐ日差し、 プールで遊ぶひとたちのざわめき 以外にアルコールが強いシンガポールスリングをストローで飲むと 心地よさに身体が弛緩する。 先ほどの行為もあって、程よく疲れていた俺はそのままデッキチェアにもたれ目を瞑る。 パサリと誰かにお腹の上にタオルをかけられたが、そのまま眠りに引き込まれていった。 ファスナーを開く音が遠くから聞こえる。 誰かの囁くような声がする。 感じた違和感に寝返りをうつと、下腹のあたりにあった重さがスッと引いた。 舌打ちしたような音がすると、続いて英語で言い争うような声がしてきた。 まどろみから引き戻され、ぼんやりと周りを見回すと、デッキチェアーの足元でボブさんと知らない青年が揉めている。 わけがわからず身体を起こすと、その時水着のファスナーが全開に下されてるのに気がついた。 なぜ?自分で降ろした? タオルの下でなぜか濡れて少し頭をもたげはみ出てるものをしまいながらファスナーを上げていると、 ボブさんと言い争っていた青年がこちらを見てニンマリと笑った。 え?なに? 彼はだれ? 少し浅黒いスレンダーな身体に黒目がちなアーモンド型の眼、 南方のアジア人特有のエキゾチックなその眼差しを持つこの青年は誰なんだろう? 「 どうしました? 」 とその場に朝霞さんがプールから杏果を連れて上がってきた。 憮然としてるボブさんとなんでもないと手を振りながら朝霞さんに応えてる彼。 「 ああ、ヒロシさん、紹介してなかったですね……彼はボブの 友人の アンドレイ、アンドレイ・ベルトです 」 「 アンドレイ? 」 外観からするとアジア系の名前が来るかと思った俺がその名を繰り返すと。 「 ヨロシク! 」 アンドレイが出した手を握って握手した俺はその手の感触になにか既視感を覚えた。

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