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第126話

シンガポール ハイ 23 最初に来たのはビールジョキと 大きなロブスターの刺身。 息を飲む杏果に俊が笑いながら、 杏果一人分だ、食べろ と指を指す。 え?‼︎ムリムリと首を振りながら慌てる杏果。 意外とあっさりしたロブスターを楽しんでいる間に次々運ばれるチリクラブ。 ノーマルな中華のエビチリの味付けのものと。 ピリッとした黒胡椒の効いた ブラックペッパーのものと。 どの皿もデーンと目の前の回転卓に置かれると思わず、すごい!と歓声が口から漏れる。 その度に"かわいいなぁ"と目が壊れてるんじゃないかと思う視線を杏果に浴びせる朝霞さんは、本当に危ないよ。 後で又俊に釘をさしてもらおう。 同時に出てきたビニール手袋、フィンガーボール。 「 豪快に手掴みでいけよ 」 と俊に促され、それからはひたすら食べるのに忙しい。 クラブと格闘する俺と杏果の手と口はベトベトなのに、俊と朝霞さんはチリソースをマントウに付けながら優雅に食べている。 なんか悔しいな、この商社コンビには、海外に来るとこういうのに差がつけられた気がする俺は小心者か? 「 もう本当に美味し〜 」 「 日本じゃカニはカニ酢とかであっさりと食べるけど、 蟹のうまみと甘辛チリソースがマッチして意外にいけるんですよね」 最後にベタベタになった手を洗いに杏果とトイレに立つと、 「 あっボブさんたち 」

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