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第136話
シンガポール ハイ 33
一心同体のような2人、これはまぁ良いとして、あとは調和の全く効かない2人。
こんな微妙な雰囲気の5人で今日一日送るのかとため息が漏れた。
「 今日、水族館に行きますか?マーライオンの親玉もいますよ。チビの方は工事中だったし 」
「 水族館て、どこの?
マーライオンの親玉? 海に向かってる有名なのは囲われてて見れなかったものね」
と、杏果が聞くと
「 セントーサ島 」
「 あー最初の日に泊まったコンドミニアムのある島? 」
「 そう、ユニヴァーサルスタジオもあるし、水族館も、ロックカフェも 」
「 なんかどこの国だかわかんないね 」
と言いながら水族館をググった朝霞さんのスマフォを覗き込んでる
「 へー凄い、シーアクアリウムって、世界最大の水族館だって 」
「 サメもうじゃうじゃいるからね、確か水槽がトンネルになっていて、泳ぐサメの下を歩ける 」
「 こっちにはマナティーはいないんだね、リバーサファリって方にはいるんだ。日本でも見たよ、ゆったりしててマナティー可愛いよね 」
「 日本じゃどこにいるの? 」
全く杏果と朝霞さんの仲の良さはちょっとおかしいって。
そんなことをコーヒーを飲みながらつらつら考えていると、
『 じゃあ、後でラッフルズで 』
驚いたことにアンドレイは一緒に来ないらしい。
俺のうなじにスッと指を這わせるという余計なことをして去っていった。
そのおかげでお腹を満たしてすこし落ち着いた俊の機嫌がまた下降した。
タクシーで向かった二度目のセントーサ島は最初のコープの印象よりだいぶざわついた感じのするところだった。
「 シーアクアリウムはすごかったけど 」
と杏果が残念そうに言うと俊がからかうように、
「 マーライオンの一番上でも絶景だって喜んでたじゃないか 」
とまぜっ返す。
ディン ○ フォンで小籠包を摘みながらこの後の相談をする。朝霞さんが、
「 ラッフルズホテル見てから、アラブ街に行きます? そういえば、アンドレイはアラブストリートに知合いの店があるとか言ってたな」
アンドレイは引っかかるけどアラブという言葉に惹かれてそうすることになった。
こんなに予定に振り回されるのも久しぶりだ。頭の隅で、俺を振り回す日本にいる人を思った。お土産買うべきかな?
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