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第139話

シンガポール ハイ 36 俊からのラインに、 少しの罪悪感と、ホッとしたような安堵感と、アンドレのおかげで、俺の気持ちは普段よりずっと敏感になってる。 こんなの本当に久しぶりだな。 日常の中で、どこか心の真ん中を閉じ込めたような生活をしているのが溶け出してくる気がする。 怖いなこの青年は…… すぐ戻ると俊にラインを送るとすぐに "ショップ" と短く返事。これは怒ってるな。 案の定フロントへの通路に出て、ギフトショップに曲がるコーナーで立っている俊は無表情で冷気が漂っていた。 俺の姿を見ると、 待たずにショップの方に行ってしまう。 後ろから来たアンドレイに ショップに行くからと言うと、 『 オッケー、 これからアラブストリート案内するよ。タクシー呼んでおく 』 『 え?朝霞さんと連絡したの? 』 『 うん、今ね 』 と言いながら、俺の頰に軽くキスをしてエントランスの方に向かって行った。 慣れちゃダメなんだろうな、こういうのには。でも、だんだんと慣らされていってるのもわかってる。 ショップに入ってみると中はかなりの賑わい。どうやらハイ ティーを、目指して来た観光客が先にお土産をということらしい。 あちこちで日本語が聞こえる。 圧倒的によその国の人が多いホテルや街中に比べて、ここは日本人の割合が多いのかなと思いながら背の高い俊を探す。 見つけた俊の隣には昨日のプールで会った2人の女性がいた。 「 ヒロシさん、どこ行ってたの? 割井さん探してたのに 」 横から杏果が声をかけて来た。 「 うんごめん、アンドレイに冷たいもの飲ませてもらった 」 「 アンドレイ?そういえばこの後アラブストリートに一緒にって、朝霞さんも言ってたね、アンドレイの知り合いのお店があるんだつて 」 耳を通り過ぎる言葉に適当に返しながら、見つめる先は店の中で目立っている3人連れ。 「 ねぇ、ヒロシさん 」 腕を引かれてハッと3人を凝視していたことに気づいた。

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