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第149話

ロックの日に あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その3 しばらくジュンヤの咳が収まるのを待つ。片腕を口にあて深い呼吸を何度かすると、 「 バカじゃない! なんだよ、それ…… 会うの10年ぶりだよ、それに俺は2年前に日本に来てる。その間なんの接触もなくて、どうしてそんなことを 」 「 お前が帰ってきてるのを知らなかったんだ。先月割井君から偶然お前の名前が出てきて…… 」 「 それまで調べもしなかったんだろ?どこにいるかなんて 」 「 サックスを吹くのを仕事にしたのは知らなかった……権藤さんの後を継ぐのだとばかり 」 「 ああ、継いでるよ!両立させて貰ってる。本当の父親ってこんなもんかなって思うほど、気にかけて貰ってるよ。 それなのにあんたと一緒に住むなんて言えるわけないだろ、 その前になんであんたと住まなきゃならない 」 「 俺が、俺が住みたいんだ、前のように一緒に 」 「 俺はいやだね、あん時の針のむしろみたいな生活、二度と送りたくない。 帰る、店にも二度と顔を出さないでくれ」 そういうとジュンヤは2枚のお札を机に置いて、店を出ていった。 まぁ断られることはわかっていたから、俺もそのあとは追わずに、残りの飲み物を飲み干した。 どうするかな、店にも来るなって言われたが、本心だろうか? 俺が知ろうとしなかったのは、お前がアメリカで幸せになると思ってたからだ。アメリカで恋人と暮らしていくんだと思っていた。日本に帰ってきてるのなら、 そんな遠慮はもうしない。 まずまぁ菅山にでも明日連絡して取ってみよう あいつと話せばなにか良い案が出て来るかもしれない。 ズボンのポケットに突っ込んでいたクルマの鍵を持ち、ウエイターを呼んで会計を終えた俺は、なにか嬉しい事でも思いついた貌をしていたのか。 ありがとうございましたというウエイターの表情が訝しげだった。 そうだよ、楽しいよ、どうしてやろうかな。今ならなんでも出来る気がしてきた。 ジュンヤのことはきちんとしなければならない、 それが俺の最後の One important thing、 二度と同じで過ちは繰り返さない。 もう俺には時間もないしな。

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