150 / 207

第151話

ロックの日に あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その5 う?尻の付近に触るもの、 勃たせているのか? 腕を背後に回して指で確かめようかとしばらくこちらも逡巡する。 幼い性の昂りに俺はどうしてやればいい? 寝返って、抱きしめて口付けを施し、 その先……義理とは言え息子に。 十代の性は溢れて流れ落ちてくればとどまることはしない。 息遣いを飲み込むような苦しげな吐息に 俺は観念して寝返りをうった。 大人として処理だけはしてやらなくちゃならない、 そんな風に思ったのを覚えている。 そのまま、必死で伏せている貌を上げさせて、噛み締めている唇を指で辿る。 あっ、という小さな囁きと共に空いたそこへ人差し指を入れ開かせて、 寄せた口で少年の溢れるような唾液を俺の舌ですすった。 濃い酒の残り香を嫌がったのか、細く跳ねるようにえずく口内に、深く舌を挿れ逃げる彼のそれを追いかけた。 その行為だけで濡れた下着を、もう片方の指で確かめた俺は、 下着ごと幼さのまだ残るペニスを緩く扱いた。 震える身体を抱きしめて、口と口はしっかりと舌で絡ませて、 先走りてグッショリのそれをリズムを付けて段々と強くしごいていくと、 唐突に強張った身体が弛緩して、 ジュンヤがいったことがわかった。 気取られないように少し下腹を離していた俺の方もそこは膨らみきっていた。 肩で息を繰り返すその弛緩した身体をしばらく抱き込みながら、 どう声がけしようか迷っていると、 肩を抱いていた俺の腕を払い、一言も発しないで毛布をはぐと、止める声も手も届かないまま、部屋から去っていった。 追いかけるか、とベッドから足を下ろしたが、なぜか身体が動かなかった。 あれは夢だったんだろうか、夢だよな。 そんな卑怯な大人の思考のまま、ジュンヤとはその夜のことを話すことはなかった……いや話さなかった。 話しかけることすらできなかった。 慌ただしく離婚が決まり、俺の知らないところで知らない理由のまま渡米が決まっていた。 日本を離れる前月の最後の夜、2人をホテルに訪ねた俺は、ジュンヤにきちんとあの夜のことを話し合うつもりだったんだろうか? 結局はまた気持ちの収まっていない香織といい違えることで別れたのだけど……

ともだちにシェアしよう!