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第154話

8ロックの日に あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その8 (18禁) 派手な男たちの抱擁に周りは大注目してるのが痛いほどわかる。 ホールのテレビから聞こえる声だけがむやみに響く中、 バカヤロウ!と叫んだジュンヤが男の頭をひっぱたいた。 その音に周りは急に動き出す。見なかった事にしようと雰囲気が動き出すと、再度ジュンヤはその男を蹴飛ばして、 「 You too, sit down! 」 座ってろと英語で言い放った。 そして、俺は思い出した10年前にアメリカでジュンヤが俺の目の前で男と享楽的なセックスを見せつけたことを。 この男と…… 離婚が成立してから5年後、持っていた不動産の債権の始末がやっとつき、取り分を話し合うべくアメリカの香織の元に行った俺は、辣腕弁護士を交えた何日かの英語でのやり取りに疲弊しきっていた。 唯一の楽しみは、 その造作無く花が蜜を纏うように青年の色香を増したジュンヤの姿を見ることだった。 あの夜のことはもちろん忘れたことはない。だが純粋に元親子だったという気持ちが勝っていた俺は、ただ成長してまばゆいばかりのジュンヤと付き合うのが楽しかった。 まさか離婚した元妻の家に泊まるわけにもいかず、かといって知り合いがいるのにホテル宿泊するのも寂しかった俺は、ジュンヤに滞在中のベッドの提供を図々しく求め、ジュンヤもなぜかあっさりとそれを了承した。 5年という月日の流れも手伝って、一緒にいることで何か変わるとお互いに期待したのかと思っていた。 俺は進められる酒に酔いしれて疑うことなく酔いつぶれていった。 深夜に物音がする。目が覚めた俺は自分が肘掛椅子に縛られていることに気がついた。 目の前には大きなベッド、 そこには真っ裸で二人の男が絡み合っていた。 細く青い身体で白い肌を晒しているのはジュンヤだった。 紅い革ひもで首と手首を繋がれて、 脚はこれでもかと広げられている。 それを俺に見せつけるように後ろから抱きしめるでかい金髪の男がいた。 抱え込んだジュンヤの耳元で途切れ途切れに煽る言葉は下品で淫猥で英語だとしても聞くに耐えないその言葉を、問われたままにすすり泣くように男の欲しい言葉を応えるジュンヤに俺はひどく興奮した。

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