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第156話
10ロックの日に
あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その10
ジュンヤの方は面倒そうに適当な否定と無視を繰り返しているのがありありとわかる。ここは口を挟むべきだろう。
「 ジュンヤ、帰りはどうする?
夕飯は外は疲れるか?うちでなにか用意しよう 」
二人の会話に入り込んで一気に言い切った俺をジュンヤは目を見張って俺を暫く見ていた。
早くしろと存外に目に力を込めた俺の視線に、英語で金髪に勝手にしろ、俺は付き合わないからとまくし立てて、俺の腕を取る。
まさか腕を取ってくるとは思わず、
驚いたのはこっちの方だが。
もっと驚いてる金髪に悟られるわけにはいかない。平静を装り、なにか懸命に訴える金髪を置いて駐車場に向かうエスカレーターに乗った。
追いすがる金髪を連れて衆目の注目を浴びながら地下の駐車場まで来ると、何事かと警備員が駆けつけてきた。
流石にまずいと思ったのか、金髪の男は
また連絡するからと怒りを貼り付けたような顔でジュンヤに言葉を投げると踵を返して出て行った。
案の定、ことが済んだらとまた地上階に登るエスカレーターに向かうジュンヤを強引に足止めし、まだ近くにいる警備員を指差しながら、
「 ここで揉めるとまた面倒だ。
とにかくタクシーで帰るつもりなら同じことだ、乗っていけ 」
と言うとため息を一つ吐き、
「 車内で電話だけさせて 」
と開けたドアから車に乗り込んだ。
電話だけさせろと言った割にはすぐに電話するわけでもなく降りるそぶりも見せない。
やはり身体が未だだるいのか車を出すまで目をつぶっている横顔は、男らしいシャープな線と美しい造作を見事にミックスさせて、俺に似ているというよりやはりあいつに似ているんだろうな。
それでも俺に似ていると言われるのは心外だろうが血は争えないってことか?
俺とあいつの関係、従兄弟だからどっかは似ているんだろうな。
そんな忘れていたことを思い出して苦笑いが出た。
どこまで遡るんだろう、この気持ちの決着をつけるためには。
寝息を立て始めたジュンヤを横目で確認しながらなるべくスムーズに車の運転に集中する。
どうするか、やはり家に連れて帰るか。
連れてこれるとは思っていなかったので、なにもこの先の予定を決めていなかった用意の悪さに思わず舌打ちが出た。
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