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第158話
12ロックの日に
あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その12
いいんだな?決めたはずなのに、
俺の気持ちはまだ逃げる道を探す。
そんな気分を打ち消すようにジュンヤに声をかける 。
「 適当に座ってくれ
腹が減っただろう
何かとるけど、何が良い? 」
と話しかけても外を呆けたように見ていて声が聞こえてないようだった。
そのままにしとくか。
まぁ何種類か適当に取れば食べるものもあるだろう。
窓に背を向けケータリングサービスに電話をしているとジュンヤがそばに寄ってきた気配がした。
エ?
ゴトンと俺の指からスマフォが床に落ちた。
ジュンヤが背後から俺にしがみついていた。そのしがみつく身体が細かく震えている……子ども抱きついているようなそんな性的な匂いの何もしない抱擁……
ジュンヤがどういうつもりで日本に帰って来たのか、まるっきりわからないが、この難しい青年をどうにかできるのも、俺しかいないだろうな。
戸惑う?今まで戸惑ったことなどほとんどないが、考えればこいつのことだけはいつも戸惑い、自分を見失いそうになって慌てるな。
とにかく、この美しくて、靭くしなやかな青年にはオレが納得するまで付き合ってもらおう。
今は子どものように抱きつかせてやるけど、今後は、
ない……
『 もしもし! 』
という相手の声が落としたスマフォから聞こえてくる。
静かな部屋に肉声はスマフォからの焦った声。
急にジュンヤが可笑しそうに笑いだし、
「 注文途中なんだろ?困ってるよな 」
と回した腕を解いて拾ったスマフォを俺に渡すとスタスタと廊下の先の洗面所に入っていった。
注文を終えると、リビングに戻ってきたジュンヤが
「 風呂入っていい? 」
と聞いてきた。
まさかそんなことになるとは思ってもいなかった俺はすぐに返事ができない。
「 3日も風呂もシャワーも禁止で、気持ち悪いったらないんだ
いいだろう 」
もちろんそんなこと反対するわけがない。
しかし、俺の家で風呂に入るか……
なんか最近では1番嬉しいことが起こってるそんな気がしてきた俺が精一杯笑顔を作って言った一言は、
「 お背中、流しましょうか? 」
「 キモい! 」
と叫んで足音も荒くジュンヤは風呂場に戻っていった。
もう俺は笑いが止まらない……
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