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第159話

13ロックの日に あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その13 着替えがないかなと思ったが、バスローブもあるしなんとかするだろうとほっておいた。 というよりなんと文句言ってくるかと興味もあった。 俺もたいがい意地が悪い。 ジュンヤが俺のうちで風呂に入る、考えれば嬉しい話だな。特別のシャンパンでも開けるか。あんまり飲ませても身体に良くないだろうか。 そんなことをつらつら考えながら午前中でなんとか切り上げた仕事の連絡のチェックをしているとインターホンが鳴った。ケータリングサービスが来たから上げると了承を取る連絡がコンシェルジュから入った。ここのシステム出前などははコンシェルジュが預かり持ってくるのでドアを解錠した。 部屋のインターホンが鳴った。 誰が対応してるんだ? 玄関の方で男2人が話している声がする。 誰だ?と思いながら廊下へ続くドアを開けると、バスローブ姿のジュンヤが若いコンシェルジュと話をしていた。 その楽しそうな妙に親しげな様子にムッときた。 なんでバスローブ姿で出るんだよ。コンシェルジュもの男もいつもいないやつがいたら少しは怪しげによそよそしくしろよ。 思わずしかめっ面をして近づくと、 コンシェルジュが慌ててご丁寧に頭を下げる。 「 青木様、ラ サーブよりケータリングサービスが届きましたのでお持ちいたしました 」 「 山脇君、ありがと! とにかく、来週休みの日にはライブ聞きにおいで 」 なに? 「 は、はい。ありがとうございます。 では、失礼します 」 山脇君とやらは若干顔を赤らめてドアを丁寧に閉めた。 「 いったい、なにを話したんだ 」 「 え?若くて可愛いから、ライブに誘ったんだよ、最近若い子少なくなってきたから、勧誘勧誘さ 」 「 こんなところであったやつにその格好でナンパか? 」 「 なんだよナンパって、頭固いな…… ライブに誘っただけじゃない それより、腹減った 早く食べさせてよ 」 俺にケータリングの箱を押し付けてスタスタとリビングの方へ歩いていく。 まったくなんなんだ、バスローブなのに誰が来たか確かめずに出るか? 俺はため息をつきながら後に従った。 まぁ今晩は言い争いをするのはやめよう。 なんせ、久しぶりの、なんだ? 今、久しぶりの落としたい相手との夜とか俺、思わなかったか?

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