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第161話

あの頃の気持ちに (ジュンヤ) その15 心配していたが、ちょうど良い温度になったシャンパンが乾いた喉を弾けながら通っていく。 「 これ、いいシャンパンだな、 サロンだろ? こんなの家に置いてあるのか? 」 「 まあな 」 と答える俺 (そんなわけないだろ、とっておきだ、と心の中で呟いておく) 「 ハ ラ ヘッタ 」 英語、いや日本語だ。 はぁ、本当にワガママな猫だ。 キッチンに入りケータリングの箱から料理を取り出しているとスッと後ろから手が出てきた。 そのままチーズを摘もうとする指を捉え俺の唇に押し当てると、 びくっと身体をしならせる。 言葉もなく固まるからその先をしたくなるじゃないか。 振り返り腰を抱きしめ頤を指で上げると、 初めて言葉を発することに気がついたようだ。 何をするのなに のところで軽く唇を舌で掃いてやると、俺の唇に夢中でしゃぶりついてきた。 これはもう止まらないな…… やるとこまでやらないと止まらない。大人だから火をつけるのも焚き上げるのもテクニックのうちだ。 滑る舌が絡み合って淫猥な音を立てる。久しぶりだ、こんなに濃いフレンチキッスは。 口蓋の奥まで余すことなく厚く舌で探ってやれば、苦しそうにその耽美な眉をひそめる。 男のこんな顔に欲情するなんて、ジュンヤだからかそんなことを思う余裕があったのも最初だけだった。 ジュンヤの手が自分のまとうローブの紐をとくとその何も身につけていない素肌がシャツ越しにその欲を伝えてくる。 もう乳首は尖っているのか俺のシャツの貝殻のボタンに引っかかるたびに息を荒くしていく。 絡み合った舌を解き、耳元で乳首が感じるのか?と問うと、舐めてと言って俺の頭を自分の胸に押し下げた。 ダイニングのテーブルに腰掛け 目当てのものを舌先でまず味わうと 「 男の乳首、初体験? 」 と息をはずませて聞いてくる。 「 女のとそんなに変わんないな 」 と答えると、 「 俺って女にもモテモテなんだぜ 」 と余計なことを喋る口を、含んだシャンパンを喉の奥に流し込んで塞いでやる。 それから軽く唇にキッスをして 「 俺もだ 」 と返すと、可笑しそうに笑った。

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