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第7話
どうしようっ、どうしよう!
僕、どうしたらいいんだろう?!
僕の股間とお尻は誉くんの硬い凶器に擦り上げられてる、ん、だけ、ど…
僕、流されて良いの?でも、流されたい!
すごく気持ちが良いんだもん!!
「ほ、誉くん…」
「なんですか?」
「僕、流されそう…」
誉くんは僕の事を更に押し流そうと優しい笑みを浮かべ甘いマスクを近付けてくる。
「流されてください。あと、敬語辞めて
いい?」
「丁寧語にもなってないよ…ふぁっ、ん」
クスッと笑い応える。
背中を這う手が気持ち良すぎて困るなぁと徐々に吐息を乱し悶えていく。
「今の顔は反則…チュッ」
「きゃあっ」
ちょっ尾骶骨撫でないで!女の子みたいな声が出ちゃったじゃない。
「なんか、冷静に対応されると苛めたくなっ
ちゃって…フフッ、可愛い声。もっと聞きたい」
冷静なんかじゃないよっ
何とか流されまいと踏ん張ってるだけだもん。
誉はベッドに幸人を寝かせ頭を抱きかかえると覆い被る様にキスの雨を降らす
「あ、あの、誉くん…て、ドSさん?」
「なに?虐められたいの?幸人さんは
ドM?」
幸人は首を横に振る。
めいいっぱい振る。
なのに…どんどん幸人の分身を掴む手がキツくなる。亀頭を探し、その存在を確かめる様に手は幸人の股間を擦り上げ、芯を持ち始めた所でじょじょに掴み上げていった。
「誉くん、その…手、痛い…よっ」
スエットの上から気持ちよく擦り上げていた手が反応し始めた幸人を戒めるような誉の手が痛い。剥がそうと幸人はもがく。
「俺は幸人さんの全部が知りたい」
「?」
「抱く時はトロトロに溶かしてやりたい。
発情期 じゃ無くても自分から股開いて
強請るような番がいい。本当は俺の声だけで
発情して逝っちゃうくらい俺に溺れさせたい。
でも、性格悪いって思わないでほしい。
こんな風に思うのは幸人さんだけなんだ」
幸人は首輪の隙間に舌を入れその首筋を何とか舐めようとしながら強請るようにアルファならではの艶のある甘い声で己のΩを誘い込む。
その声に幸人も漏れなく蕩け始める。
いや、自分の運命と気付いているからこそ本能が目の前のαにぐずぐずに陥落したいと反応しているのかもしれない。
「ひゃんっ それ…き、気持ちいい。痛いの
は…苦手かも…でも、こうやって一緒に
ギューッて抱き合えるのは好きかもって
…今、気付いた…あんんっ」
「幸人…さん?」
「ぁ…ん、僕…自分が何が好きとか…考えた事
なかったよ」
幸人は自分の届く精一杯で舌を出し誉の下顎を舐め上げるとその仕草に誉の頬が染まる。
そんな珍しく頬を染める誉を見て幸人はクスッと心の中で微笑む。
きっと今から自分はこの人の腕の中で翻弄される、でもそんな自分にす少なからず高揚する。
ヒートでも無い時の交尾なんて知らない。
幸人の中でヒートはただの生理現象で『来るものは仕方がない』程度のものだった。
今でもそう思ってる。
それ以外で誰かと肌を重ねたいなんて考えた事も無かった。
女性とも関係を持った事のない幸人だ。
自分がΩと分かって以来、養う事が出来るか分からない伴侶は作らないと決めていた。
αの女性に誘われなかった訳ではない。
寧ろお誘いは多かった方だとも思う。ただ、
それに関しては都度、晴翔が追っ払った。
常に自分と行動する晴翔は周りから契約者か婚約者と思われる程一緒にいた。
いつもいつも晴翔に助けられていた。
それすらなんとも思わなかった自分だ。
でも、今はヒートじゃないのに。男なのに。
この目の前の男に抱かれたいと思う自分が居る。
この事実に幸人は驚き、その好奇心をくすぐられていた。昂る。
誉がαの香りが自分を包み込む。
花の蜜に誘われる蟲の様に幸人はその肩に顔を埋めすんすん匂いを嗅ぎ、その首筋を舐め上げる。呼応する様に幸人の香りも部屋を満たしていく。
αは自分の首を他者に触られるのを極端に嫌う。
他のΩがしようものなら引き剥がしただろうその行為も、目の前の愛しいΩなら最もすんなり受け入れてしまう。…拙い舌遣いも相まって可愛くて仕方なく、鎖骨に這う唇を暫し堪能し、お返しとばかりに体をずらして首輪下の鎖骨の上を強く吸い上げる。
赤く浮き上がるそれに多幸感を感じ誉は己の中の温かな気持ちの芽生えに戸惑った。
運命って言葉は便利だな。
盛 り合う事を正当化する都合の良いワードくらいにしか思って無かった。
でも、今なら少しだけ分かる気がする。
現に『運命の番』の前では自分がこうも変わってしまうのだ。
『運命 』の前では、何よりも愛しいこの人を最優先したくなる。離したくなる。心から欲してしまう。
プライド云々なんてどうでも良くなり、繕う事も面倒くさく、理屈抜きでもっともっと甘えてさせたいと思う。
誉は自分の急激な変化に戸惑いつつも、本能で己の『運命』を離すまいときつく抱きしめる。
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