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王の責任4
「勃たせる方法なんぞ、いくらでもあるだろ。」
それこそ自分の意志に関係なく性欲を高める薬品だっていくらでもあるし、そんなことを気にするやつなんか周りにいない。そう言って暴虐王は笑った。
そういうものなのだろうかとレオニードは不思議に思った。
「それに“暴虐王”は嗜虐趣味があるって話になってなかったか?」
自分自身のことを当たり前の様に暴虐王だと呼んだ事実にレオニードは思わずぎくりとしてしまう。
「嗜虐趣味なのか?」
恐る恐るレオニードが聞くと暴虐王は意味ありげにニヤリと笑った。
「さあ、どうだろうな。」
それだけ言うと暴虐王はレオニードの前から立ち去ろうとしていた。
その人が困るさまを喜んでる様に見えるのは噂を裏付けているみたいでいやだ。
「今俺のすべきことは――」
「少なくとも教育中はお前に絶対に危害を加えるなと命令してある。」
後はお前自身で考えろ。
そういうと暴虐王はもう何も言わなかった。
一人に戻った室内でレオニードは大きく息を吐いた。
それから先ほどまでの暴虐王の言葉と笑顔を思い出す。
あの皇帝は自分の望んでないない性行為すら、まるで普通のことの様に言っていた。
基本的に、親が選んだ相手と結婚するのが普通なのだ。
自分の両親だって、少なくとも母が選んで俺を生んだとはとてもじゃないけれど思ってはいない。
それほど子供ではなかったが、なんでも選べそうなあの暴虐王が選べないことを受け入れているということは今思い返してもレオニードには驚きだった。
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