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王の責任5
その国で一番偉い人間が王なのだ。
他の国との関係は別として、国内でのことであれば一番に選択できるだろうとレオニードは思っていた。
例えば一つしかないパンがあったとして、それを食べることができるのはまず国王だろう。
戦争をしたって前線に駆り出されるのはまずは領民だ。
貴族は指揮を取るだけで、それが世の中の決まりだった。
だから、暴虐王とまで呼ばれた男の、現在世界で一番大きな国の皇帝である男の、どこか諦めた様な言い方は衝撃だったのだ。
だって、だれも逆らえる筈が無い。
事実自分だって、好き好んでこの国に来た訳ではなかった。
ユーリィが室内に入ってきて暖かな紅茶を差し出す。
ぼんやりとそれを飲みながらレオニードはポツリと言う。
「なあ、王様ってなんだろうな。」
そもそも領主たる貴族のことすらまともに知らないのだ。
ユーリィはきょとんとこちらを見ているだけで、レオニードはだよなあと少しだけ安心した。
この気持ちを直接教師に投げつけていいのかさえも分からず、長い溜息をついた。
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