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切先4

レオニードは体勢を立て直すとそのまま、二度、切りつける。 勉強をしているよりよっぽど性に合ってると思った。 そして、暴虐王は言われているよりずっと誠実な性格なのではないのだろうかと感じる。 太刀筋はシビアではあるが、美しい。レオニードは思わず見とれそうになる。 少なくとも傍若無人なものではないし、誰かに教わったにしても真摯に向き合っている剣だ。 ただ、恐ろしく場数を踏んでいるであろうことも確かだ。 普通王族はここまでにはならない。職業としてやっているレオニードですら何故こんな勘が効くのだ驚いてしまう。 ただ、負けてやるつもりはレオニードには無かった。 男としてのプライドってやつも少しばかりはあるのかもしれないが、それより軍人としてあまりにも無様な真似はしたくないという気持ちが大きかった。 それに……。 レオニードは暴虐王とした約束を思い出す。 ここで聞かなくとも、名は調べれば分かる。 けれど、この男の口から名を聞いてみたいと思ったのだ。 そんな簡単な褒美が本当に心から欲しいと思ったことにレオニードは自分自身少しだけ驚いていた。

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