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切先5
交えた剣を上方向に払う。
一瞬整っていた筈の暴虐王のリズムが狂う。
レオニードはそのまま暴虐王の懐に入ると剣を一突き、したつもりだった。
その時、暴虐王がニヤリと笑った気がした。
暴虐王は飛び上がりレオニードの剣を避けそのまま彼の背中に向って剣を突き立てる。
レオニードはこの手合いのルールを聞かされてはいなかった。
だから、別にこれでもいいだろう。
突っ込むに任せて体を地面すれすれまで倒れこませる。
手が床に触れる。足をまげて手の力で床を叩きつける様に押した。
剣は一旦床に滑らせる。
剣は大切にすべきものだ。その考えは変わっていないし、勝つのであれば剣の力で勝ちたい。
けれど、先に体の方が動いてしまった。
そのまま、手の反動でテンポをずらすと、足を一旦ついて後方転回に跳ぶ。
レオニードの視点がぐるりと180度回転した。
試したことすらなかったが回転の為足を蹴りだす瞬間に剣も蹴ったが上手く剣も宙を舞ってくれている。
一回転してそのまま剣を握る。
柄を取れなかったため強か痛いが刃が無いので致命傷にはなりえない。
普通であれば先ほどの暴虐王の一太刀に刺されて負けていたのだ。
だから、効果のある一撃かはそれほど考えてはいなかった。
刹那の事なのだ。
いちい理論を考えて行動などできはしない。
その動きにここのところ叩きこまれた帝王学とやらも、騎士道とやらも何も関係は無かった。
そのまま暴虐王に向って一歩踏み込むと剣を一閃する。
次の瞬間ゴッという鈍い音が響いた。
手加減について考える余裕はレオニードには無かった。
目の前で膝をつく暴虐王を見ても、それが自分自身の動きの結果なのだということがレオニードには実感が無かった。
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