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名前1

聞える音はお互いの息遣いだけだった。 結婚式もしていなければ、特に何もしていない伴侶と初めてしたことがこれというのは、少しばかり愉快だった。 自分らしいのかもしれないとも思った。 レオニードは思わず微笑む。けれどそれは勝者の微笑みという訳では、全くなかった。 そんな風に自然と笑顔を浮かべるのはいつぶりだろうか。 軍にいた時はその時の状況に合わせて半ば無理やり笑顔を浮かべていた気がする。 それが戦闘のために必要だったからという理由だけで、軽口をいって笑い合っていた気がする。 だから、多分久しぶりの笑顔だった。 その笑顔をみて、暴虐王が我に返ったかの様にニヤリと笑った。 剣を交えていた時間はほんのわずかな時間だった。 ただ、それよりもずっと長い時間この男と相まみえていた気がする。 レオニードは暴虐王に向って手を伸ばす。 その手をつかんで暴虐王は立ち上がった。

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