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名前3

暴虐王はレオニードと向き合うと、まじめな表情になる。 「|劉祜《りゅうこ》だ。」 慣れない響きの言葉に一瞬何を言っているのか分からなかったけれど、レオニードはすぐにそれが暴虐王の名だということに気が付く。 「帝位の名ではないが、気が向いたときに呼べばいい。」 一応、妃なんだ。咎める者はいないだろうと笑う。 レオニードは、さすがに気安く誰かの前で呼べるものではない事位分かっていた。 暴虐王が暴虐王であることにはおそらく理由があるのだろう。そのためにも多数の前で呼ぶべきではない。 「劉祜。」 「なんだ?」 どうせ呼ばない名なので一度呼んでみたかった。それだけだった。 自分の声で響く暴虐王の名は不思議に響く。 「面映ゆいものだな。」 劉祜はそんなことを言う。何故彼が恥ずかしがっているのかレオニードにはよく分からない。 「レオニードという名は王族のものか?」 「まさか。母さんが付けたんじゃないかと思ってるけど。」 父が付けたという話を聞いたことは無い。だから多分母親が一人でつけた名だ。 そもそも、母の出産を知っていたのかさえもレオニードには分からない。 「そうか。良い名だ。」 劉祜にそういわれて、何故彼が恥ずかしがるような、照れる様なそんなことを言ったのかが分かった。 これは照れてしまう。 「今度は……。」 劉祜が静かに言う。 「レオニードに合わせた剣を作らせよう。」 次があるとしたら、その時は負けない。 そう言われてレオニードは思わず笑みを浮かべた。 「鍛錬して待ってるから。」 まるでそれを待ち望んている言い方になったことにレオニード自身が驚いた。 それは劉祜もそれには少しばかり驚いたらしく、一瞬固まってから吐息に近い笑い声をあげて「そうだな。俺も楽しみにしている。」とこたえた。

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