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名前5

そもそも、劉祜がここに来る理由は無いのだ。 この国にとってそれほど利点のある婚姻では無かった。 だから、人質としての価値もそれほどないレオニードに対して時間をかける利益が劉祜には無かった。 何もかも、暴虐王の行動すべてがちぐはぐに思える。 来るとは思わなかった人物の来訪にレオニードは思わず目を見開く。 「ああ、気配を殺して来た甲斐があったな。」 劉祜はいたずらが成功した子供の様に笑う。 レオニードは訓練を受けた軍人だ。 気配を殺したといっても、ある程度察知することはできる筈だった。 相当な手練れでもない限り考え事をしていたところでレオニードは人の気配にきちんと気が付ける。 「さすがです。」 剣を交えたからこそ、レオニードには劉祜の能力の高さが分かっていた。 だからこそ、素直に認めることができた。 「それで、何かご用でしょうか?」 レオニードが切り出すと、劉祜は笑顔を浮かべた。 やはり、間違いではなかった。彼はレオニードの前でよく笑顔を浮かべている。 「妃の元に赴くのは王の務めであろう?」 すでにそのことを知っているであろうレオニードに向けて言うのは、からかいの一種なのだろうか。 レオニードには判断が付かなかった。 「それにーー」 劉祜がてに持っていたものを掲げながら、微笑んだ。 そこには包みがぶら下がっていた。

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