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そもそも、劉祜がここに来る理由は無いのだ。
この国にとってそれほど利点のある婚姻では無かった。
だから、人質としての価値もそれほどないレオニードに対して時間をかける利益が劉祜には無かった。
何もかも、暴虐王の行動すべてがちぐはぐに思える。
来るとは思わなかった人物の来訪にレオニードは思わず目を見開く。
「ああ、気配を殺して来た甲斐があったな。」
劉祜はいたずらが成功した子供の様に笑う。
レオニードは訓練を受けた軍人だ。
気配を殺したといっても、ある程度察知することはできる筈だった。
相当な手練れでもない限り考え事をしていたところでレオニードは人の気配にきちんと気が付ける。
「さすがです。」
剣を交えたからこそ、レオニードには劉祜の能力の高さが分かっていた。
だからこそ、素直に認めることができた。
「それで、何かご用でしょうか?」
レオニードが切り出すと、劉祜は笑顔を浮かべた。
やはり、間違いではなかった。彼はレオニードの前でよく笑顔を浮かべている。
「妃の元に赴くのは王の務めであろう?」
すでにそのことを知っているであろうレオニードに向けて言うのは、からかいの一種なのだろうか。
レオニードには判断が付かなかった。
「それにーー」
劉祜がてに持っていたものを掲げながら、微笑んだ。
そこには包みがぶら下がっていた。
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