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花見2

その男がご同業であることは、体の動かし方ですぐわかった。 |人質業《ひとじちぎょう》の方では無く、この男は軍人だ。 そして、この場に来れるということは、かなり上層部の人間なのだろう。 勝手に敷物に上がり込み、レオニードの隣に座った男を止めるものは誰もいない。 止めるどころか、声をかけて確認できる地位のものもこの中にはいないという事だろう。 「私の事がどこかで、噂になってますか?」 なるべく丁寧に聞く。 この場で名を聞くことが失礼ではないと、教わった知識では分かっているのに、気分を害された時のリスクが大きすぎてきりだせない。 人質としての価値はそれほどでもない事はレオニード自身よく知っている。 けれど、全く無い訳でもない事も知っていた。 もしこの場で何かあった時、責任を取らされるのはレオニードではない。 だからこそ、自分の言動には気を付けなければならない。 「“暴虐王”に生贄に捧げられたって話だけど、そうじゃなさそうやな。」 そんな、肩ひじはらんと大丈夫やで。と言われるがそれはむずかしい。 それに、妙な訛りはもしかして態とではないかとさえ思えてしまう。 それくらい、すらすらと共用語で男はしゃべっている。 この国で初対面の人間相手に劉祜を“暴虐王”と言える人間は限られてくる。 レオニードの頭に浮かんだのは二人。 「ああ。自己紹介がまだだったなぁ。」 男はニヤリと笑って、レオニードを見据えた。

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