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花見8

軍で権力を持っている男が、何故自分に興味を持ったのか。 レオニードには理由が分からなかった。 王族として、ただ血のつながった人間を差し出しさえすれば見逃される小国。自分の国に対する帝国の感想はそんなものだろう。 これといって、収奪してもうまみの薄い小国の政治的に使えない王子。それがレオニードだ。 悔しくないと言えば嘘になる。 けれど、少なくともそう思われている中で晃がレオニードを気にする必要は無いのだ。 ひらり、ひらり桃の花びらが舞う。 どうせなら、劉祜と見たかったなんて思ってしまうのはあまりにも、今日初めて出会った男のアクがあまりにも強い所為だろう。 劉祜に聞いてしまいたい事がまた増えた。 レオニードは自分のひらりと開いた袖が目に入る。 美しい刺繍が施してある。 「姫君か……。」 まるで自分が別のものに置き換えられていっている気分だ。 不快感はあるが、それをはねのけるだけの知識も力も今のレオニードには無い。 劉祜を見ていると、知識や力があれば選択できるのかさえも分からない。 姫君と呼ばれることが不快なのにそれを変える方策も思い浮かばない。 レオニードはコッソリとため息を付くともう一度満開の桃を見上げた。

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