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暴虐王の過去5

「何故開放してやらんちゅー顔しとるな。」 晃に言われるが自分では分からない。 一度生贄として出した娘は穢れているとかいう貴族の常識があるとでも話し出すのかと思った。 何も知らないと見下している目をしているから、そんなところだと思った。 「龍かは知らんけど、この場所の地下では不思議な現象がおこるんや。」 姫君はそれに半分食われてて“そこから”引きはがせなくなっとる。 「なあ、姫さんも奇跡の証をもってるんやろ?」 晃に聞かれてようやく、彼の目的を悟る。 どこまで本当の事だったのかは分からないけれど、晃の興味はレオニードに対してではなく、レオニードの持っている石に対してだと気が付く。 レオニードの国の御伽噺とその証の様な守り石が彼の目的なのだろう。 逃げるといっても逃げ場はないし、反撃していいかといえば、無理だ。 今難を逃れられたとしても、後で政治的にどんな扱いを受けるか分からない。 それが自分自身へのことであれば諦めも付くが、咎を負うのが奉公人達だと目も当てられない。 ダン、という大きな音をたてて床に押し倒された時だって、そのまま腕位折ってやる事位できた。 妙に目を爛々とさせた晃がレオニードの事を見下ろしている。 「なあ、姫さんと愛し合えば、奇跡とやらは起きるんか?」 それだけは嫌だと、レオニードは咄嗟に思った。

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