58 / 124
暴虐王の過去14
劉祜の足取りは重い。
一歩一歩踏みしめる様に歩いて行った先にあったのは、所謂玉座の間というやつだ。
室内着の上に一枚羽織っただけのレオニードは場違いに思える。
「こっちだ。」
一番奥で、劉祜が降り返る。
地下にお姫様がいるという話だった。
実際、地下に向って階段が降りていっていることに気が付いた。
こんなところに階段があることに少しばかり驚く。もちろん脱出路として準備されていてもおかしくはないのだけれど、そういうものではないのだ。
階段の向こうは暗くてよく見えない。
劉祜は、手に持っていた行燈の光を頼りに地下に降りる。
薄暗い階段はレオニードが思っていたより長い。
下に下にと進んでいくと、地下室というよりも牢に近い様な場所についた。
物音は何もしないが、気配がある。
それはレオニードが軍人だったからこそ感じ取れたものなのかもしれない。
「あら、誰かお客様かしら。」
鈴の音の様な可愛らしい声がした。
こちらかはその声の主は見えない。
劉祜が緊張したのが分かる。
それできっと目的の人物がこの先にいるのだろうとわかった。
「何を見ても悲鳴を上げるな。」
今更な言葉を言うと劉祜は声のした方に一歩一歩進んでいった。
ともだちにシェアしよう!