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朝食の誘い2
けれど、どうせ皇帝としての仕事の一環として朝食の時間を過ごしていること位レオニードにも察しがつく。
仕事としての優先順位で、レオニードの名前があがることはあり得ないだろう。
だからこそ理由が分からなかった。
晃との件を気にしているのだろうか。
あんなものはすでにレオニードの中で割り切れている。
その程度の事で心がへし折れてしまう様では仕事で殺し合いなんてものは出来ないのを劉祜もよく知っている筈だ。
だから、彼が何故自分と朝食をというのか分からなかった。
◆
約束の日の朝、劉祜の元に向かう途中であの最初の日に出会った、劉祜の腹心と思われる男とすれ違った。
劉祜はもう仕事を始めているということだろう。
忙しいだろうにレオニードと朝食をとる時間をとってくれたということだと気が付く。
「あの方をお願いいたします」
すれ違いざま、その人はレオニードに小さな声でそう言った。
レオニードが振り返るとその人もまたこちらを見ていた。
優しい顔をしていたと思う。
その人はすぐに軽く会釈をすると言ってしまった。
お願いしますという言葉には深い意味は無いのだろうと劉祜の元に向かう。
朝食の最中についてのことだろうとレオニードは思った。
案内された部屋でテーブルに並んだ料理を前にレオニードは少しだけ拍子抜けをする。
劉祜の体つきから考えて、一日三食脂のたっぷり入った豪華絢爛な食事をしているとは思っていない。
体の動きを支えるための食事をしなければ剣の腕は鈍る。
けれど、これはどちらかというと多分レオニードがここに来る前に食べてたものに趣は近い。
知識として入っていたのは、この国の王侯貴族は朝食に海燕の巣のスープを飲みアヒルの肉が並ぶという事だけだった。
レオニードに合わせてなのか、これが劉祜の日々の食事なのかは分からないが粥と野菜の蒸し物と不思議な香りの茶のみの食卓は妙に安心できる。
けれど、目の前の劉祜は表情すら変わらない。
最初の謁見の時に見た暴虐王の顔で、淡々と食事をしている。
まるで今までのことは何もなかったというような顔で食事をとっている劉祜をみて不思議に思う。
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