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誓い2
◆
劉祜の言葉通り、湖は見晴らしがよく穏やかで美しい場所だった。
馬に積んでいたカーペットの様なものを敷いてそこに座る。
劉祜の国の様式の茶と、それから小さな砂糖菓子を渡された。
隣に劉祜が腰を下ろした時、ようやくレオニードはまるでこれは恋人同士の逢瀬の様だと気が付く。
二人きりでこんな風にしているのはどこの国でもそう見る。
人質として必要なことではないので、自分には関係ないと思っていた。
劉祜が、こちらを見て微笑む。
まさか、本当にたまには番らしいことでもしようと思った訳でもあるまいし、とレオニードは思う。
けれど、暴虐王に嫁いで初めて宮殿を出たのだ。
それを優しさだと思ってしまうのは仕方が無い。
レオニードは手渡された茶碗に口をつけた。
それは、劉祜が準備したものだった。
「平民のままいたいと思った事はないのか?」
所謂失言の類《たぐい》だろう。
レオニード自身分かっていたのに聞いてしまう。
少女の言った事が本当かも分からないのに、確信めいたものがあった。
王族の兄がいるのに平民だというのは、いくつか思い当たるところもある。
レオニードもここに嫁いでくるまでは平民だった。
「一度もないな。」
簡潔に劉祜は言う。迷いのない目だった。
「そうか。」
レオニードは大きく息を吐いた。
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