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誓い7
劉祜は石に触れると「綺麗な石だな。」とだけ言った。
少しだけ気恥しい様な、不思議な気持ちになる。
「レオニードの瞳の様で、綺麗だ。」
劉祜はそういうと、レオニードの目じりから頬にかけてそっと撫でた。
その指先の動きは優し気で、劉祜の視線も気持ちがほどけていく位穏やかで優しい。
前に言われたことと同じ台詞なのに、胸の鼓動はあの時よりももっと強い気がした。
自分の瞳を覗きこまれているみたいで、恥ずかしくて、でももっと近くでという相反した気持ちになる。
「あなたに触れて、いいですか?」
レオニードが聞く。
劉祜はレオニードを抱きしめて、それから耳の後ろあたりに口付をした。
◆
静かな離宮は二人きりだった。
明日の朝まで誰も来させない様にしているという。
もつれる様に服を脱がせながらキスをする。
体を清めてからの方がいいと思えるだけの理性はレオニードにもまだ残っている。
レオニードは女を抱いたことはあった。恐らく劉祜も誰かを抱いたことはあるのだろう。
相手を選べぬ時もあるであろうことを、もう今のレオニードは知っている。
だからあえてお互いにそのことには触れない。
抱かれるのは初めてとはいえ、性行為をしたことはあるのに、わずかながら震えている自分がまるで生娘の様でレオニードは思わず自嘲気味な笑みをもらす。
「この城は、湯が湧いているんだ。
背中を流してやろうか?」
劉祜はレオニードの緊張を解そうとする様にそう言った。
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