72 / 124

誓い7

劉祜は石に触れると「綺麗な石だな。」とだけ言った。 少しだけ気恥しい様な、不思議な気持ちになる。 「レオニードの瞳の様で、綺麗だ。」 劉祜はそういうと、レオニードの目じりから頬にかけてそっと撫でた。 その指先の動きは優し気で、劉祜の視線も気持ちがほどけていく位穏やかで優しい。 前に言われたことと同じ台詞なのに、胸の鼓動はあの時よりももっと強い気がした。 自分の瞳を覗きこまれているみたいで、恥ずかしくて、でももっと近くでという相反した気持ちになる。 「あなたに触れて、いいですか?」 レオニードが聞く。 劉祜はレオニードを抱きしめて、それから耳の後ろあたりに口付をした。 ◆ 静かな離宮は二人きりだった。 明日の朝まで誰も来させない様にしているという。 もつれる様に服を脱がせながらキスをする。 体を清めてからの方がいいと思えるだけの理性はレオニードにもまだ残っている。 レオニードは女を抱いたことはあった。恐らく劉祜も誰かを抱いたことはあるのだろう。 相手を選べぬ時もあるであろうことを、もう今のレオニードは知っている。 だからあえてお互いにそのことには触れない。 抱かれるのは初めてとはいえ、性行為をしたことはあるのに、わずかながら震えている自分がまるで生娘の様でレオニードは思わず自嘲気味な笑みをもらす。 「この城は、湯が湧いているんだ。 背中を流してやろうか?」 劉祜はレオニードの緊張を解そうとする様にそう言った。

ともだちにシェアしよう!