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許し1

レオニードは自分に何が起こったのかきちんと理解していた。 そして、今自分が夢を見ていることも自覚している。 別に自分の傷の事はどうでも良かった。 それよりも孤独な背中をした王様に、辛い選択を強いてしまっているのかもしれな事が気がかりだ。 暴虐王は友のために暴虐王となったのだ。 地下室の少女とそれを大切に思う友のために王となった。 友のために暴虐王の名を甘んじて受け入れている彼が、冷徹であろうとしている彼がレオニードは好きだった。 その冷徹さを貫き通すのであれば彼は友を殺さねばならないだろう。 友のために冷徹であった人間が、その友を殺さねばならない。 どんな事情があったのか、レオニードには知る由もないが劉祜に友人を手にかけて欲しくはなかった。 そのためにもレオニードはすぐにでも目を覚まさなければならない。 目を開けて劉祜に「こんなもの大したことない。」と笑いかけたいのだ。 その後、皇帝を続けるにせよ、降りるにせよ決めさせてやりたかった。 選択肢の無い中、友に手をかける事だけは回避させなければならない。 人質としてレオニードにどれほどの価値があるのかは知らない。 レオニードに何かあった時、あの宮殿の人々はどう動くのかわからないのだ。 だからこそ、早く目を覚まさねばならなかった。

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