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許し9

別に怪我をするようなものじゃない。 むしろ傷が治り切っていないレオニードの方が顔をしかめた。 「あんさん、なにするんや。」 晃が言った。 劉祜が間に入ろうとする。 本来自分に許された行為でない事はレオニードでも知っている。 けれど、これはけじめだった。 レオニードなりのけじめだ。 劉祜の命を狙ったのだ。 滅茶苦茶にしてやりたいという気持ちは心の奥底にちゃんとある。 けれど、それも含めて彼を許すためのレオニードなりの儀式だ。 これをしなければ、少なくともレオニードは先に進めないし、きちんと晃と話もできないと思った。 「べつに? アンタだって大事な人を傷つけられれば怒るだろ。」 レオニードがそういうと、晃の肩が揺れた。 「普通のことだろ。」 普通の事だ。ただそれだけの事だ。 彼はただ今までの状況に憤ってただけなのだろう。 だから、無駄にレオニードに突っかかってきていた。 ……とレオニードも目覚める前までは思っていた。

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