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許し10
「劉祜が暴虐王じゃない事を知っている人間は他にもいたし、俺が王族としてふさわしくない事も知っていた。」
だから、適当なところで俺を国に返そうと話をしていたのだ。
最初から、レオニードの事はきちんと調べられていた。
教養がない事も、姫君として扱われるのがふさわしくない人間だということも知られてこの国に来ていた。
多分その事を晃も知っていた。
知っていて放置していた。この国とってどうでもいい人質だったからだということは最初からレオニードは分かっている。
だから、誰もレオニードの元を訪れたりはしなかった。
劉祜のやさしさがこもっていた部屋以外、必要最低限のことしか行われていなかった。
そんなものは必要なかったからだ。
「なんであんなに俺にこだわった。」
同性間の婚姻が形だけでも成立した、とはいえ世の中は異性間で結婚をする人間が多いのだ。
男を襲いたいという感覚を持っている人間は相対的に少ない。
戯れだとしても、八つ当たりだとしても晃がレオニードを襲う理由としては軽すぎる。
少なくとも劉祜を殺そうとする位追い詰められている人間が何故そんなことをしたのだろうか。
晃は少しずつ壊れてしまったのかもしれないと思った。
壊れてしまったから支離滅裂なことをしているのかもしれない。
けれどレオニードは彼と実際に対面して、晃が思いのほかきちんとしていることに気が付いたのだ。
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