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許し11

「彼女を助け出す手立てが見つかったか?」 レオニードが静かに聞く。 それは確信めいた言葉だった。 「……奇跡が。」 最初晃が何を言っているのか聞き取りにくかった。晃はもう一度同じ言葉を口にする。 「奇跡?」 レオニードが晃の言った事を繰り返した。 次の瞬間、晃がレオニードに掴みかかろうとする。 怪我をしているとはいえ、今回は晃からレオニードは綺麗に避けた。 「あんさんのそれは奇跡やろ。」 奇跡、奇跡が必要なんだ。うわ言の様に晃が言った。 それが、劉祜の身代わりになったことを指していることはすぐに分かった。 晃がのどから手が出るほど欲しいもの、劉祜を殺してでも手に入れたかったものだ。 「なんだって、そんなものが必要なんだ?」 「彼女の代わりにするんだ。」 奇跡の遺物があれば、彼女の代わりになる。 そう晃は言った。はっきりとしっかりとした声で、目でそう言った。 「それで、その後はどうするつもりだ? じゃあ、なんで劉祜を殺そうとした。」 友だったのだろう。 少なくとも劉祜はそう思っていた筈だ。 それは劉祜を殺さねば成し遂げられないことなのだろうか。

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