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許し12
「魔獣の王の居場所の見当はおおよそついてるんや。
この国を俺が乗っ取ってでも魔獣の王を倒して彼女を救い出す。」
それ以外の選択肢はあるか?
晃は歪な笑顔を浮かべる。
彼女があの場所に居なければいけない理由は、魔獣の主がいるからだ。
それを倒せば彼女は自由になる。
それなのに劉祜は何もしない。晃はそう言いたい様だった。
奇跡をあの少女の身代わりにして、諸悪の根源を討ち滅ぼしたいその一心だということを晃に説明された。
「劉祜。」
レオニードは名を呼ぶ。
レオニードの愛する人と目の前の男は友人同士なだけあって、少しだけ似ているのかもしれない。
「魔獣を操っている人間がどこにいるのかの、目星がついたことは確かだ。」
劉祜の言葉で、晃が何を焦っているのかが分かった。
「分かっているのに、何故そこに向わない。俺を向かわせない!」
妙に癖のある公用語を取り払って晃が叫ぶ
政 をして現状維持をすることに劉祜がしがみついているとでも言いたげに見える。
けれど、今のレオニードにはいたずらに兵力をそちらに割けないこの国の事情も分かっている。
そんなものがいると知らされていない魔獣を操っている人間のために簡単に挙兵できないこと位考えれば分かる筈だ。
討ち滅ぼさねばならぬ敵と世界よりも大切な少女。
その二つの命題の解決の糸口が目の前にぶら下がっていたのだ。
だから、とはレオニードには思えなかった。
けれどこの人が許すと決めたのだ。
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