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許し13

「劉祜。」 レオニードは再び彼の名を呼んだ。 それから、彼の目の前に立つと、首元に指を這わせた。 それから首元にある紐を引っ張る。 彼に渡した石を、劉祜は肌身離さずつけていてくれたらしい。 それを「折角渡したものなのにすみません。」と言いながら紐を指で引きちぎる。 「奇跡の印。というのは俺の事なのか、この石のことなのか?」 レオニードはそのままその石を晃に投げつける。 「アンタが奇跡と呼んでいるのは、それか?」 晃が反射的に受け止めた石をじっと見ている。 「彼女に危険が無いのであれば、試してみる価値はあるだろう。」 レオニードは晃ではなく劉祜に言う。 晃は確信をもって話をしていた。 劉祜も妄言として切り捨ててはいなかった。であればそれなりの確度のある話なのだろう。 レオニードはそれから、大きく息を吐いて呼吸を整えた。 「この人が、あなたを許すのなら私もあなたを許しましょう。」 先ほどまでの砕けた口調ではない言葉をレオニードは口にした。 劉祜のためにきちんと微笑もうと思ったけれど、きちんと笑顔を浮かべられたかどうか、レオニード自身よく分からなかった。 少なくとも妃としては及第点にも及ばない笑みだっただろうとレオニードは思った。

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