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王の条件、英雄の条件2

「それほどの数はいらないはずや。 それこそ俺が王になれば自分の近衛で充分こと足りる。」 レオニードはこれからする提案を口に出すべきか最後まで悩んでいた。 政治にも貴族というものにもさほど詳しくないのだ。 もうすでに目の前の二人が考えに考えて、他の手段がないためこんな風になってしまったのかもしれない。 多分きっとそうなのだろう。 劉祜にも腹心と呼べるような人間はいる。最初の出会いの時に劉祜が素を見せていたような相手だってちゃんといるのだ。 だからできうる案はすべて出し尽くしていて、レオニードがこれから出す案も等に無駄だと却下されているかもしれない。 けれど、鼻で笑われるのであればそれでいいと思った。 「国として動けないのであれば、個人として動けばいい。」 それが出来たら苦労はないんや。と吐き捨てる様に晃は言う。 「精鋭が必要だってこと位、お馬鹿さんでもわかるやろ。」 晃は言う。 「なら、俺と劉祜でやればいいだろ。」 「それこそ、何を言ってるんだ? 自分ならできるって? 国の仕組みを少しは勉強したはずやろ!」 鼻で笑われるどころの話では無かったけれど、少なくともその案の検証をしたことがない事は分かった。 「悪逆非道の皇帝と王妃は処刑されてしまいます。 その後は悪を倒した将軍が良き国を作りました。」 めでたしめでたし。 レオニードが静かに言う。 「劉祜と俺が殺されたとして、それが“暴虐王”を討ったという理由であれば、周辺諸国の反逆の動きはどの程度の期間抑えられる? ……勿論あんたが次の王にすぐ即位したとしてだ。」 晃が訝し気にこちらを見る。 「死んだ筈の人間なら、好きに動けるだろ。」 精鋭? 笑わせる。 劉祜の剣の腕は一流だった。目的に見合う実力だろう。 レオニードは晃をみて笑顔を浮かべる。 「彼女はこの石で救う。それから俺と劉祜で魔獣の方は何とかする。 石が本当に奇跡の印なのかは知らないが、何とかそれなりにもたせられればいいんだろ?」 そもそも、この男は劉祜を殺そうとしていた。 自分が玉座についた後の計画はある筈だ。 彼は別に狂ってはいない。 だから、彼が王となった後の準備も進めていた筈だ。 石を狙ったのにも理由がある筈だし、劉祜を殺して弑逆の王になった後の計画もきちんとある筈だ。

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