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王の条件、英雄の条件4
「レオニードは俺が玉座を手放すと?」
劉祜は王としてではなく、一人の男として問いかけているのだと思った。
「そこは大した問題じゃないさ。」
石で少女の代わりになるのか、本当に劉祜がいなくなったこの国は、同盟国は安定して存在するのか。そちらの方がよほど問題だ。
劉祜は瞼を閉じてしばらくの間逡巡している様だった。
それから、レオニードを見る。
切ない様な、瞳だった。
それは愛を二人で確かめ合った時の様な瞳だった。
「レオニードは俺のためにすべてを捨ててくれる。ということか?」
「まあ、あなたが王をやめるのであれば、そこが最低限の誠意でしょう。」
レオニードは笑顔を浮かべた。
劉祜が暴虐王でなくなるのであれば、レオニードは今まで生きてきた中のつながりすべてを捨てるつもりだった。
「あんさん、こいつのために一度命を投げうったもんなあ」
晃に言われておレオニードはちらりと視線をそちらに投げる。
けれどすぐに劉祜に視線を戻した。
「命、はもういらない。」
あんな思いは二度とごめんだと劉祜が言う。
それから、「そうだな。それもいいな。」と答えた。
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