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王の条件、英雄の条件5
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元々、晃の謀反について話をする場だったため、あの部屋の外にいた人間も劉祜にごく近しい人間ばかりだった。
悪い暴虐王とその伴侶はこの世から消し去られる。
世界が正しい方に導かれて悪い二人は消え去る。
それだけの事だった。
劉祜は慌ただしくあの地下室の少女の術を管理している人間達を呼び寄せ今後について打ち合わせているらしい。
レオニードは、真の意味で彼のただ一人の臣下あるユーリィを目の前にしてなんと切り出そうか悩んでいた。
それこそ、初めて戦場で敵を目の前にした時の様だと思う。
ユーリィは何故自分が呼ばれたのか分かっておらず首をかしげる。
レオニードが目を覚ました時、あれだけ心配をかけていた少年だ。
それにユーリィはレオニードのために故郷を離れさせてしまったのだ。
その彼を置いていかなければならない事実は、腹のあたりがじくじくと痛む様だ。
けれど彼を連れて行く訳にもいかない。
晃は「殺すのが上のもんの務めやなあ。」と言ったけれど、それだけはしてはならない事位レオニードでも分かる。
ユーリィはレオニードがここで生き延びられた恩人でもあるのだ。
自分たちが去った後殺させることも絶対にあってはならない。
穏やかに彼が暮らせる方法。
他の全てを投げだすレオニードの唯一の気がかりだった。
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