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王の条件、英雄の条件6
「まず、今日ここで話す全ては一生他言無用で頼む。」
きょとんとしていたユーリィの表情が曇る。
話せることと、話せない事がある。
ユーリィに話すべきこと、逆に話してはいけないことは事前に劉祜から伝えられていた。
何も知らないことがユーリィを守ることがあるということはレオニードも理解していた。
処刑されたことにすればいいと言った言葉通り、二人は処刑されたことになるらしい。
他の提案はかなりの部分に訂正が入ったそうだが、処刑された事にするという部分についてはそのまま採用された。
晃の嫌味の様なものなのかもしれないが、今はそんなことはどうでもいい。
とにかく近日中に二人は処刑されたことになる。
けれどその話をユーリィにそのままする訳にはいかない。
彼にとって、レオニードと劉祜はもうすぐ死ぬ人間なのだ。
だからその後の身のふり方を、話さねばならない。
「ユーリィは、俺では無くて別のひとの世話して欲しいんだ。」
へ? とユーリィは素っ頓狂な声を上げる。
「何故? とお聞きしてよろしいでしょうか?」
ユーリィは静かに言う。
窺うようにじいっとレオニードの瞳を見つめてくる。
その表情に戸惑いはあってもレオニードに対する疑念の様なものはかけらも見えなかった。
レオニードは「答えられない。」と伝えた。
嘘は付きたくないというのは偽善だろうか。
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