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王の条件、英雄の条件7
「ユーリィには呪いをかけられていた少女の従者になって欲しいんだ。」
地下にいた少女には話を付けた。
面白そうに笑って、彼女は「私の命のある限り、その子の事はお任せください。」と言った。
自分が救われるとなっても、彼女の纏う雰囲気はまるで変わらなかった。
強い人なのだろうとレオニードは思った。
だからこそ彼女にユーリィを託せる。
レオニードの曖昧な言葉にユーリィはこちらを黙って見返す。
「それで、あなたはどうするんですか。」
人質として一人これからどうするんですか? と聞いていることはレオニードにも分かっている。
けれどそれに対する答えをレオニードは口にすることはできない。
「頼む……。」
ユーリィからの問いかけに説明を返すことはできなかった。
頭を下げたレオニードに、ユーリィは「や、やめてくださいっ!」と叫ぶ様に言った。
「――分かりました。」
レオニード様が望むのであれば、それに従います。
ユーリィは静かにそう言った。
きっとこれから起こる出来事にユーリィはショックを受けてしまうだろう。
「今まで、ありがとう。」
思い残すことはもうなかった。
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